“オーガニック食材を選ぶ”生き方が、地域・社会の未来をつくる(札幌 オーガニック居酒屋 粋Laboratory)

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たっちゃん
こんにちは、札幌在住の”まちラボライター”、小坂達広ことたっちゃん(27)です。
今回は、札幌にあるオーガニック居酒屋「粋Laboratory(以下:粋ラボ)」さんの記事です。オーガニック食材を中心とした食の関わりから地域やまちづくりについてを中心に取材をしました。

さて、あなたは「オーガニック」と聞いてどんな印象を持つでしょうか。

かくいう僕は「確かに体にいいということは分かるけど、薄味なイメージがあるし・・・ぶっちゃけ夜食で食べるカップラーメンはたまらんのよね(笑)」という人間。

そんな僕に対して粋ラボの創始者の石田香織さん(30)は言いました。

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(写真 右:創始者 石田香織 さん 左:店長 永関 真司 さん)

石田香織
それでもいいの。私たちが本当に伝えたいのは“自分の食を自分で選択している”という意識はあるか、ということだから

普段食べているものが作るのは、自分の体だけではありません。

今回は、そして飲食店のみならず、生産者や流通、そして地域や社会を巻き込む「まちづくり」のお話です。

粋ラボを始めたキッカケ ~ボランティアとビジネスのはざまで~

高校生のころ、音楽が好きでライブハウスや野外フェスに積極的に足を運んでいた石田。
そんな石田は16歳の時、人生を変える一本の動画と出会う。

ナショナルジオグラフィック。
特集されていたのは、オゾン層破壊についてだった。

それを見た時に危機感を抱いた石田。

このままじゃダメだ。



大好きな野外フェスが青空の下で見れない!

このときから、環境問題を意識し始めるようになる。
その中でボランティアにも興味を持ち、地元のボランティア団体に参加。

しかしそこで見たのは、
現状の政府や社会に対して不平不満を言うばかりで、
行動に移さない大人たちの姿だった。

話しているだけではなく、行動しなければ何も変わらない。
石田は、まずは自分が動こうと、
“嬉楽”という団体を立ち上げ、札幌で行動開始

ゴミ拾いや環境問題について学びを深めるイベントを開催していた。

きゃ

今でも5/3に毎年開催している大通り公園やすすきの周辺のゴミ拾いイベントには毎年多くのボランティアが集う

石田香織
すごく楽しかったしやりがいも感じていたけど、「あなたはどうやって暮らしているの?」と言われればボランティアのためにアルバイトしている状況だった。ボランティアってそういうものだ、とも思っていたけど、何かおかしいなと思ったの。

他にも違和感はあった。
その一つが、“団体を維持・継続することの難しさ”だ。
最大で35名のメンバーがいた嬉楽だったが、構成するメンバーには学生が多く、
卒業に伴う就職などで、4年経ったときには7名までに減った。

石田香織
持続可能な社会を実現しよう!とかいいながら、自分たちの組織が持続可能じゃなかった。そこにすごく矛盾を感じていて・・・

自身が抱えていた違和感から、「一度はちゃんと会社で働こう」と広告代理店の会社に就職した石田。
マーケティングのノウハウやビジネスの考え方などを学び、その面白さとやりがいを感じる反面、
自分が本当にやりたいことなのだろうか、という感覚もあった。
そんな石田に対して、

「社会人とはそんなものだ」
「自分のやりたいことはできない」

そんなことを言う人もいたが、
石田の心が迷うことはなかった。

「もっと日本をよくしたい」

想いが自分の中で沸騰していた。
その時、石田が思い出していたのは、18歳のとき、ボランティアでカンボジアに行ったときのことだった。

石田香織
世界の現実をつきつけられたようなあの経験が忘れられない。人身売買や子供の薬物販売。すごくつらくて苦しかったけど、ボランティア活動する中で最終日に一人の女の子が「私のお姉ちゃんになって」と言ってきたの。私もう、このままカンボジアに残ろうかなって思ったけど、”じゃあ自分が日本に生まれた意味って何だろう”って考えると、私がやるべきことはその子の姉になることじゃなくて、日本を変えることなんじゃないかなって。だから、つらかったけどその女の子と「ごめんね、お姉ちゃんにはなれないけど、きっと世界を良くするからね」って約束したの。その時の経験が、私の根源のモチベーションになってるの。
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石田は広告代理店を2年で退社。
ボランティアのためにバイトするという状況と、価値観の合わないことも仕事だからやるという生き方。
その両側面を自ら体験した石田。

「ないなら作ればいい」

自分が働くことが地球のためになるものを仕事に。
その中の選択肢として自然に出てきたのが「オーガニック居酒屋」だった。

石田香織
環境問題についてはずっと考えていたし行動していたから、オーガニック居酒屋をやると決めたのは当たり前だったかもしれない。地産地消も大切にすれば、輸送コストを考えた上でCO2削減につながるし、農薬を使わない栽培方法であれば土壌汚染も発生しない。そういう本質的な食べ物を広げたいっていう想いは昔からあったの。ただ、札幌でそういう”食”を体験したいなって思ったらわざわざ自分で農場まで行かなきゃいけなかったし、行って、高めのお金払って、質素、みたいなのは何か違うなって。じゃあ、もっと身近で、おいしいっていう居酒屋を作ろうって思ったの。
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2010年、粋ラボが札幌に生まれる。

創業以来変わらぬ想い ~オーガニックを”選択する”という生き方~

扱う食材は自分たちで足を運んだ農家さんのものがほとんど。
オーガニックの食材にこだわりぬいた。

そして、ただオーガニックの食材を提供するだけではなく、
“食”について考えてもらう場所にしようと、
農家さんを招いての講演会やイベントの開催などを定期的に開催している。
店舗の休みの日にはスタッフと実際に畑まで行って畑仕事を手伝ったりもした。

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石田香織
農家さんの生の声を聞いて、一緒に土にまみれて動くという時間が私たちにとって、すごく大切。オーガニックの野菜を栽培している農家さんに話を聞くと、全員が全員オーガニックに賛成しているっていうわけでもないという現実が見えてきたり。確かに、食べていくためにはお金が必要だから、安定した供給ができるように農薬とかを使って栽培している人たちもいる。私たちは、その行動を否定できないけど、、、でも、「孫に食べさせたい野菜は?」と聞くとみんな口をそろえて「オーガニック」だっていうの。それってやっぱり本質的じゃない。今は、オーガニックの食品の需要は増えてきているけれどまだまだ足りない。オーガニックの食品を選ぶ消費者がもっと増えたら、”じゃあ、オーガニックの野菜を作ろうか”っていう農家さんも増える。だからまずは私たちが少しでも需要を生み出せればと思うし、オーガニックという”食”を伝えて、広げていくことが、私たちの使命だと思う。

粋ラボの店長をつとめる永関 真司(29)さんは、
まずは「オーガニックを選択するという生き方があるということを知ってほしい」と語る。

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永関 真司
少し過激に言うのであれば、「農薬で体も土壌も傷つけてボロボロになった地球を子供や孫に渡したいですか?」という質問だと僕は思ってます。僕はね、汚れてない地球を渡したい。でも、知らない選択肢を選ぶことはできないから、まずは知ってもらう。その上で、何を選択するのはその人次第。その考え方について僕がどうこう言うつもりはないけど、僕は「オーガニックという生き方」を知ったし、 もしみんながオーガニックを選べば、オーガニックを作るようになる農家さんが増えると信じてる。だから、オーガニックを”選択する”生き方に誇りをもってます
石田香織
“食”の選択って、実は未来や周りに対してすごい影響を与えているんだよね。もちろんオーガニックだけの話ではなくて、例えば地域の食べ物を食べれば地域にとってはプラスになる、とか。自分で食べるものを目的をもって自分の意志で”ちゃんと選んでいる”という感覚を私は大切にしたい。この食べ物を食べることが、農家さんや地域、そして自分の体や将来の子供たちの幸せにつながるんだということを実感して”食”を選ぶ。“食”は本来それだけの力があるものだって私は思うの
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自分の食を選ぶということが影響を与える範囲は思っているよりも広い。
そして、自分の”食の選択”が、誰かを幸せにできる力があるということを、僕らはもっと知ってもいいのかもしれない。

自分の”食の選択”が、自分の体だけではなく、農家だけではなく、流通の仕組みから、地域・社会を作り出す。 スーパーに行って今夜の献立を考えるときに、その食材は誰がどんな思いで作っているのかや、自分がその食材を選択することで、地域・社会にどのような影響を及ぼし、「まちづくり」につながるのかを考えてみるのも楽しいかもしれない。

普段自分が食べるものに考えをめぐらし、選択に誇りを持てるようにすることが、
まちづくりだけではなく、ひいては子や孫に誇れる未来を作っていく「大きな一歩」となる。

そんな生き方を伝えていく粋ラボの挑戦は、これからも続く。

粋ラボこと粋ラボラトリー情報

住所:札幌市中央区南1条西5丁目 豊川南一条ビル地下1F
営業時間:営業時間:昼(土日限定)11:30-15:00/夜17:00- 22:00
定休日:月曜日
電話番号:011-211-6145
公式サイト:http://ikilab.com
店内の様子:


店長のまさしさんが、実は店の中で現れます。グリグリと動かして中を見てみて下さい!

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ABOUTこの記事をかいた人

小坂 達広(Tatsuhiro Kosaka)/たっちゃん

まちづくりラボ運営チーム、クリエイティブディレクター。横浜育ち(1989年生まれ)。東京のベンチャー企業で、企業の映像、特に、情熱大陸のようなドキュメンタリー映像やそのシリーズ映像の制作などを数多く手がけ、その実績は、超有名大手企業からベンチャー企業まで多岐にわたる。映像制作の中でも人の想いを聞くインタビューと、それをストーリーとして紡ぐ執筆が好き。