“つながり”が生む「心の居場所」 ~札幌ゲストハウス WAYA流のまちづくり~前編

2014年11月1日に札幌にオープンした、ゲストハウス「WAYA」。

“すべての人が心の中で「ただいま」と言える居場所をつくる”というコンセプトのもとにWAYAを運営する、合同会社Staylink(ステイリンク)の若き起業家の3人にインタビューした。

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河嶋 峻
合同会社Staylink代表。
1991年生まれ。北海道別海町出身。国際基督教大学卒業。会社では主に渉外を担当。
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木村 高志
合同会社Staylink共同代表。
1991年生まれ。埼玉県川口市出身。国際基督教大学卒業。会社では主に広報とマーケティングを担当。
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柴田 涼平
合同会社Staylink共同代表。
1992年生まれ。北海道稚内市出身。明治学院大学卒業。会社では主に経理とマネージャーを担当。

ゲストハウスをやろうと思ったキッカケ

それは3人が大学3年生のときのことだった。
東京で同じ大学だった河嶋と木村が教育実習中に出会い、将来の進路について話し合っている中で「起業したい」という同じ想いを持っていることに気が付き意気投合した2人。河嶋は高校時代からの親友の柴田にも声をかけ、3人で起業することを決めた。

河嶋の自宅をオフィスにし、3人でどんなビジネスをするかを考えた。
当時はまだ「ゲストハウスを運営する」というアイディアはなかった3人。
ITの分野で新しい価値を届けようと知恵を絞っていた。

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河嶋
起業ってすごく楽しいイメージで、ソフトバンクの孫さんや楽天の三木谷さんの本を読んだりして、ワクワクしていたんです。でも、実際やってみるとなかなかいいアイディアがでない。自分たちでは「これだ!」って思うアイディアでビジネスコンテストに応募してみたり、経営者の人に相談しに行ったりしたんですけど、どれも惨敗でした・・・

気が付けば近づいてくる”大学卒業”。
決まっているのは、自分たちが起業するということだけだった。

河嶋
実際、焦りもありました。なかなかうまくいかなくて、少し自信も失っていました。でも、だからこそ、それぞれが内に持っている想いややりたいことが段々と明確になってきた時期でもありましたね。

こんなサービスがあったらいい、というアイディアではなく、自分たちが日ごろ思っている問題に根差していて、自分たちの力で提供できるサービスは何だろうという思考に変わってきた3人。

話し合う中で出てきた問題意識の中の一つに「地域の活性化」があった。

河嶋
大学は東京だったので、長期休みの期間に北海道に帰っていたんですけど、帰るたびに、小さいころに行っていた子供服のお店がなくなっていたりして切ない想いをしていました。何か、地域の活性化のためにできることはないかなって考える中で、「地元でツアーを企画して大学生を連れていくことくらいだったらできるぞ」って。それで新しい事業が作れるんじゃないかって思ったんです。

そこで生まれたのが、ジモトリップだった。地元を旅するツアーを地元の人が企画し、交流できる場を作る。そして、トリッピーズの様に、ツアーを紹介できるプラットフォームをWeb上で展開することを視野に入れていた。

そして、まずはその第一段階として、河嶋の地元の北海道の別海町でのツアーを企画した。

大盛況だったジモトリップ

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facebookを使った自力集客のみだったが、ツアーの参加者は8名。
そして、別海町でツアー参加者を受け入れるメンバーは約20名にもなった。

地元農家の協力のもと行われた農業体験や、約30人でのBBQは大盛況だった。
ツアー前までは全くの他人だった人たちが、ツアーを通して仲良くなり、お互いを理解し、つながりを持っていく姿をみた3人。

河嶋
うれしかったのが、ツアー中に友達になった参加者と地元の人が、その後facebookでお互いの投稿に「いいね」をしていたりとか。そういうのが続くのっていいなって思ったんです。
柴田
それまで僕らは「IT系で新しいサービスを立ち上げよう!」と躍起になっていたけれど、その固定概念をジモトリップが覆してくれたような気がします。リアルでのコミュニティを作ってつながりを生み出して、持続させていくっていうのは価値だよね、って。

このとき、起業が目的ではなく手段に変わった3人。
自分たちは、かかわる人たちに新しいコミュニティ、居場所を提供したい。
すべての人がただいまと言える居場所を作りたい。

そんな想いを実現するのがゲストハウスだった。

実際にゲストハウスを運営する人に話を聞きにいき、
どの場所でやるのかも慎重に検討した。
その結果、地元でもあり、年々外国人観光客が増え続け、宿泊施設が足りない札幌に場所を定める。

・・・

後編へ続く

“つながり”が生む「心の居場所」 ~札幌ゲストハウス WAYA流のまちづくり~後編

2016.06.16

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ABOUTこの記事をかいた人

小坂 達広(Tatsuhiro Kosaka)/たっちゃん

まちづくりラボ運営チーム、クリエイティブディレクター。横浜育ち(1989年生まれ)。東京のベンチャー企業で、企業の映像、特に、情熱大陸のようなドキュメンタリー映像やそのシリーズ映像の制作などを数多く手がけ、その実績は、超有名大手企業からベンチャー企業まで多岐にわたる。映像制作の中でも人の想いを聞くインタビューと、それをストーリーとして紡ぐ執筆が好き。