さて、あなたは「オーガニック」と聞いてどんな印象を持つでしょうか。
かくいう僕は「確かに体にいいということは分かるけど、薄味なイメージがあるし・・・ぶっちゃけ夜食で食べるカップラーメンはたまらんのよね(笑)」という人間。
そんな僕に対して粋ラボの創始者の石田香織さん(30)は言いました。
普段食べているものが作るのは、自分の体だけではありません。
今回は、そして飲食店のみならず、生産者や流通、そして地域や社会を巻き込む「まちづくり」のお話です。
粋ラボを始めたキッカケ ~ボランティアとビジネスのはざまで~
高校生のころ、音楽が好きでライブハウスや野外フェスに積極的に足を運んでいた石田。
そんな石田は16歳の時、人生を変える一本の動画と出会う。
ナショナルジオグラフィック。
特集されていたのは、オゾン層破壊についてだった。
それを見た時に危機感を抱いた石田。
このままじゃダメだ。
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大好きな野外フェスが青空の下で見れない!
このときから、環境問題を意識し始めるようになる。
その中でボランティアにも興味を持ち、地元のボランティア団体に参加。
しかしそこで見たのは、
現状の政府や社会に対して不平不満を言うばかりで、
行動に移さない大人たちの姿だった。
話しているだけではなく、行動しなければ何も変わらない。
石田は、まずは自分が動こうと、
“嬉楽”という団体を立ち上げ、札幌で行動開始。
ゴミ拾いや環境問題について学びを深めるイベントを開催していた。
他にも違和感はあった。
その一つが、“団体を維持・継続することの難しさ”だ。
最大で35名のメンバーがいた嬉楽だったが、構成するメンバーには学生が多く、
卒業に伴う就職などで、4年経ったときには7名までに減った。
自身が抱えていた違和感から、「一度はちゃんと会社で働こう」と広告代理店の会社に就職した石田。
マーケティングのノウハウやビジネスの考え方などを学び、その面白さとやりがいを感じる反面、
自分が本当にやりたいことなのだろうか、という感覚もあった。
そんな石田に対して、
「社会人とはそんなものだ」
「自分のやりたいことはできない」
そんなことを言う人もいたが、
石田の心が迷うことはなかった。
「もっと日本をよくしたい」
想いが自分の中で沸騰していた。
その時、石田が思い出していたのは、18歳のとき、ボランティアでカンボジアに行ったときのことだった。
石田は広告代理店を2年で退社。
ボランティアのためにバイトするという状況と、価値観の合わないことも仕事だからやるという生き方。
その両側面を自ら体験した石田。
「ないなら作ればいい」
自分が働くことが地球のためになるものを仕事に。
その中の選択肢として自然に出てきたのが「オーガニック居酒屋」だった。
2010年、粋ラボが札幌に生まれる。
創業以来変わらぬ想い ~オーガニックを”選択する”という生き方~
扱う食材は自分たちで足を運んだ農家さんのものがほとんど。
オーガニックの食材にこだわりぬいた。
そして、ただオーガニックの食材を提供するだけではなく、
“食”について考えてもらう場所にしようと、
農家さんを招いての講演会やイベントの開催などを定期的に開催している。
店舗の休みの日にはスタッフと実際に畑まで行って畑仕事を手伝ったりもした。
粋ラボの店長をつとめる永関 真司(29)さんは、
まずは「オーガニックを選択するという生き方があるということを知ってほしい」と語る。
自分の食を選ぶということが影響を与える範囲は思っているよりも広い。
そして、自分の”食の選択”が、誰かを幸せにできる力があるということを、僕らはもっと知ってもいいのかもしれない。
自分の”食の選択”が、自分の体だけではなく、農家だけではなく、流通の仕組みから、地域・社会を作り出す。 スーパーに行って今夜の献立を考えるときに、その食材は誰がどんな思いで作っているのかや、自分がその食材を選択することで、地域・社会にどのような影響を及ぼし、「まちづくり」につながるのかを考えてみるのも楽しいかもしれない。
普段自分が食べるものに考えをめぐらし、選択に誇りを持てるようにすることが、
まちづくりだけではなく、ひいては子や孫に誇れる未来を作っていく「大きな一歩」となる。
そんな生き方を伝えていく粋ラボの挑戦は、これからも続く。
粋ラボこと粋ラボラトリー情報
住所:札幌市中央区南1条西5丁目 豊川南一条ビル地下1F
営業時間:営業時間:昼(土日限定)11:30-15:00/夜17:00- 22:00
定休日:月曜日
電話番号:011-211-6145
公式サイト:http://ikilab.com
店内の様子:
店長のまさしさんが、実は店の中で現れます。グリグリと動かして中を見てみて下さい!
今回は、札幌にあるオーガニック居酒屋「粋Laboratory(以下:粋ラボ)」さんの記事です。オーガニック食材を中心とした食の関わりから地域やまちづくりについてを中心に取材をしました。